3月になりました。
受験シーズンもほぼ終わり、そろそろ桜の開花が待ち遠しい季節になりました。
私は東京生まれヒップホップ育ち、もとい東京育ちなので、桜といえば入学式を思い出します。
しかし、まあ、日本は南北に長く伸びているので、人によっては桜のイメージは異なるでしょう。
大雑把にいうと、桜は月の平均気温が10度を超えると咲き始めます。
つまり、桜の開花日を調べれば日本の細かい気候区分や地形が見えてくるということです。
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桜の開花のメカニズム
桜(ここではソメイヨシノ)の花芽は、前年の秋頃にすでに作られます。
それらがいったん休眠状態になり、冬の間に一定期間寒さを体験すると眠りから覚めます。
いちごと同じですね。
これを休眠打破といいます。
この休眠打破の後、少しずつ暖かくなる中で生長し、開花します。
東京では2月1日からの日平均気温の積算が400度を超えると開花するといわれています。
〇東京の2月1日からの積算温度と開花日の関係
気象庁のデータをもとに作成
2016年は積算温度が400度を超えた後、3月21日に開花しました。
ただ、積算温度370度付近で開花する年もあるので目安でしかありません。
今年はいつ頃開花するのでしょうかね。
桜前線
先にも述べましたが、日本は南北に細長く伸びる愛らしい形をした列島です。
北は北海道から南は沖縄まで、ざっと3000キロ。
気候区分でいえば、冷帯から亜熱帯まで、さまざまです。
桜の開花日が同じ地域を線で結んで表したのが桜前線。
桜前線の平年と昨年を比べると以下の図のようになります。
ただし、北海道は「エゾヤマザクラ」、沖縄は「ヒカンザクラ」を観測対象としています。
〇桜前線(平年と2016年)
これを見ると一目瞭然ですが、地域によってばらつきがあります。
基本的に北へ行けば行くほど(緯度が高くなればなるほど)寒いから、開花日が遅れていくのはわかりますが、同じ高さの緯度なのに開花日が異なるのです。
これには何が関係しているのでしょうか。
桜と気候・地形の関係
まずは本当に北へ行けば行くほど、つまり緯度が高くなればなるほど寒いのかを見ていきます。
〇開花日と緯度の関係
各観測地点の平年の開花日と緯度を表にして近似値をexcelさんに算出してもらうとこのようになります。
なんか数式が・・・中学校で習いましたね。一次関数ってやつですね。
y = 3.6324x + 42697
えっとぉ、ここではxが緯度でyが開花日だからぁ・・・
要するに、緯度が1度高くなると、開花日が3.6日ほど遅れるという計算です。
〇開花日と標高の関係
次に書く観測地点の平年の開花日と標高を表にして近似値を出してみました。
緯度による差ができるだけ少なくなるよう、南は徳島(北緯34.07度)から長野(北緯36.39度)までの26地点から近似値を出しています。
y = 0.027x + 42822
えーと、だからぁ、ここではxが標高だからぁ・・・
つまり、標高が100m上昇すると開花日が2.7日ほど遅れるという計算ですね。
例えば、島根県の松江市と新潟県の新潟市を比べるとこんな感じ。
観測地点 | 開花日 | 緯度(北緯) | 標高 |
---|---|---|---|
新潟 | 4月9日 | 37.92 | 3.6 |
松江 | 3月31日 | 35.47 | 3.4 |
差 | 9日 | 2.45 | 0.20 |
松江の開花日が3/31で、新潟の開花日が4/9ということで、まあだいたい数式通り。
次は同じくらいの緯度で標高が違う例。
群馬県の前橋市と福井県の福井市を比べるとこんな感じ。
観測地点 | 開花日 | 緯度(北緯) | 標高 |
---|---|---|---|
前橋 | 3月31日 | 36.23 | 108.5 |
福井 | 4月3日 | 36.07 | 11.5 |
差 | 3日 | 0.16 | 97.00 |
前橋の開花日が3/31で、福井の開花日が4/3ということで、これもまあだいたい数式通り。
しかし、これ以外にもヒートアイランド現象とかの影響でこの数式通りにはいかないこともあります。
桜の開花予想は非常に難しいんですね。
そりゃあ、気象庁も開花予想しなくなるわけだ。
さいごに
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
散ればこそ いとど桜は めでたけれ 憂き世になにか 久しかるべき
昔から桜は歌に詠まれてきました。
花見の準備をしているときは「たえて桜のなかりせば」と思い、桜を見ながら酒を飲んでいるときは「散ればこそ」と思う。
人間って勝手だなと思いながら、それでもやっぱり咲くのが待ち遠しいのが桜なのです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。