砂漠と聞くと遠い異国にあるイメージですよね。
日本でいうと鳥取砂丘が思い浮かびますが、あれは砂漠ではありません。
ただ単に植物が育ちにくいだけで降水量は豊富にあるからです。
同じく、東京都伊豆大島には「砂漠」という名称はあるものの、厳密には砂漠ではないそうです。
しかし、十勝平野はかつて気候的にも砂漠であったというのです。
大昔とはいえ、この日本に砂漠があったなんて驚きです。
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十勝平野
十勝平野は北海道の南東に位置する、広さ約3600平方kmの平野です。
畑作や酪農が中心で、北海道ならではの大型機械を使った大規模農業が盛んです。
じゃがいも、てんさい、にんじん、たまねぎの他、そばの産地でもあります。
輪作を行い、農作物を安定して生産している日本最大級の畑作地帯です。
北海道が生産量一位の作物の覚え方
「ぶじにかてただあ」
ぶ=ブロッコリー
じ=じゃがいも
に=にんじん
か=かぼちゃ
て=てんさい
た=たまねぎ
だ=大根、大豆
あ=小豆
十勝平野は火山灰土に覆われていて稲作には適していません。
一般的に、火山灰土は水はけが良く(=水持ちが悪く)、植物の生育に必要な栄養分が少ないからです。
(関東ローム層は基本的に粘土質であり、水はけが悪い。ただし栄養分が少ないので稲作に向かないのは同じ。)
この火山灰土というのが十勝平野の特徴であり、十勝平野がかつて砂漠だったという根拠になります。
十勝平野ができるまで
約90万年以上もの昔、十勝平野は海でした。
しかし、十勝平野北部の十勝三股が大噴火し、その火砕流によって十勝平野の北部が埋め立てられました。
一方そのころ、十勝平野南東部は隆起していき、今から80万年前頃には海つながる湖となりました。
長い年月をかけ、湖から湿原、湿原から湖へと地形が変わっていくのを繰り返しました。
約70万年前ころになると、十勝平野の周辺の土地が再び上昇しました。
すると、低い方へ低い方へと石や礫が流れ込んでいき、湿原を陸地に変えていきました。
川ができ、土砂を運び、扇状地や氾濫原ができていきます。
こうして十勝平野が誕生したのです。
十勝砂漠
※写真はイメージです
約8万年前から地球全体が寒くなっていき、氷期に突入します。
一番最近の氷期なので「最終氷期」というそうです。
そんな中、約4万年前に、現在は湖となっている支笏火山が大噴火を起こしました。
その火山灰が、100キロ以上離れた十勝平野にも降り注ぎました。
当時は氷期の真っただ中で空気が乾燥していました。
そんな条件の中、そもそも草木が茂りにくい気候であった上に、細かい火山灰が降り積もったことが原因で、十勝平野は砂漠になったのです。
この砂漠状態が約1万年ほども続いたのです。
約2万年前くらいになるとようやく十勝砂漠にも草木が生え始め、人類も住み始めます。
しかし、まだ油断すべきではなかった!
約1万8千年前には、支笏湖のすぐ北にある恵庭岳が大噴火。
再び砂漠化してしまいます。
この砂漠は数千年続いたとされています。
さいごに
今や十勝は観光地でもあります。
十勝川温泉、花畑牧場、タウシュベツ川橋梁、愛国駅・幸福駅などなど。
そんな十勝平野が、かつては砂漠だったわけです。
十勝を平野に変えた日高山脈などの山々を眺めつつ、十勝の名物を食べられたらどんなにおいしいか。
かつて砂漠だった場所で温泉につかるって、どんな気分になるんでしょうね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。