みなさんは東京の大田区の由来をご存知でしょうか?
東京都が35区から23区になるときに、『大森』の『大』と『蒲田』の『田』をとって名付けられたのがその由来です。
これは有名ですよね。
「大田クルー」もそう歌ってましたし。
懐かしき「アルファベットでOTA♪」。
曲名なんだったっけなぁ。
このように、2つ以上の地名を混ぜ合わせたり、組み合わせたりしてできた地名を「合成地名」といいます。
今回はこの合成地名をいくつかご紹介したいと思います。
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市制町村制が合成地名をつくった
1889年(明治22年)、市制町村制が制定されました。
これによって、それまで数え切れないほどあった町や村が、
それまでの約4分の1の、1万6千ほどに統合されました。
そこで新しい名前をつけることになるのですが、ここで住民同士が争います。
自分の住んでいる町が隣町の名前になってしまったらどうでしょう。
なんか占領されたみたいでイヤな感じがしませんか?
かといって全く新しくキラキラネームみたいな名前を付けられても嫌です。
南セントレア市とか・・・。
現代人の私ですらそう思うのですから、昔の人ならなおさらでしょう。
自分が生まれ育った地名に愛着があるのは当然です。
なので政府が推奨したのが「合成地名」というわけです。
日本で初めて西洋リンゴの生産が始まった「北海道亀田郡七飯町」は、
「七重村」と「飯田村」が合併して「七飯村」となったのが始まり。
さらに「平成の大合併」でも新しい市町村名が誕生しました。
こんな感じで、日本にはたくさんの合成地名が存在します。
平成の大合併を乗り切った「海津市」
輪中地帯で有名な「岐阜県海津市」は、平成の大合併を乗り切った市名です。
2005年に海津町と南濃町と平田町が合併し、市になりました。
その際、それぞれの町の頭文字をとった「ひらなみ(平南海)市」となる予定でした。
この「ひらなみ市」は全国からの公募で決定した市名だったのですが、
応募総数2559件のうち、「海津市」が551票なのに対し、
なんと「ひらなみ市」はたったの2票!
まあ、別に多数決が最善ってわけでもないからいいんですけどね。
その後、反対する住民からの署名活動によって、合併協議会は決断を下します。
郵送による住民意識調査を行い、最も多くの支持を集めた名前を新市名にする、と。
その結果、25,081票中なんと20,383票が「海津市」を支持。
新市名を巡っての騒動で合併が1年遅れるも、こうして「海津市」が誕生したのでした。
不思議な合成地名
「読書村」って何て読むかご存知ですか?
正解は「よみかきむら」だそうです。(現・長野県木曽郡南木曽町読書)
なんでこのような地名になったのか?
「与川(よかわ)村」+「三留野(みどの)村」+「柿其(かきぞれ)村」
の三村が合併した際に、それぞれの頭文字、それもひらがなの頭文字をとって名付けたからです。
こういう地名は他にもいくつかあります。
「大唐内(おがらち)」+「市茅野(いちがや)」+「栃(とち)」+「光野(みつの)」
を合わせて、老富(おいとみ、現・京都府綾部市老富)となります。
「綿内(わたうち)村」+「川田(かわだ)村」+「保科(ほしな)村」
を合わせて、若穂(わかほ、現・長野県長野市)
一風変わった合成地名といえば現・山梨県韮崎市清哲町。
「水上村」+「青木村」+「折居村」+「樋口村」が合わさった地名なのですが、
成り立ちが面白いのです。
水上村の「水」と青木村の「青」で「清」。
折居村の「折」と樋口村の「口」で「哲」。
合わせて「清哲村」。この発想には脱帽です。
地域の方々が知恵を絞って地名を守ろうとしてきたことが分かります。
出身地の地名の由来が面白ければ、それで一つネタになりますね。
探せばまだある合成地名
日本にはまだまだこういった合成地名がたくさんあります。
東京都の国立市は「国分寺駅」と「立川駅」の中間に「国立駅」ができたのが由来です。
まさか駅名が由来だったとは。
他にも東京都千代田区の「紀尾井町」は、かつてこの地に
- 紀州徳川家
- 尾張徳川家
- 彦根井伊家
の中屋敷があったのを、各家の文字を1つずつとって町名としたものです。
維新の三傑と称される大久保利通が暗殺されたのが紀尾井町の紀尾井坂です。
でも、こういうことができるのは日本語ならではだと思います。
漢字の組み合わせだけなら中国でもあるかもしれませんが、
ひらがなの頭文字を組み合わせるとかは他では無理なのではないでしょうか。
たった一文字でも伝統が引き継がれていると思うと、なんだか感慨深いですね。
まるで親から子へ、名前が引き継がれるように大切にされているんですね。
あっ、そうそう。大田クルーの曲名思い出しました。
「大田区よいとこ一度はおいでチョイナチョイナ」でしたね。地味になげえ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。