「りんごの生産量一位の県を答えなさい」という地理の問題があったら、たいていの人は「青森県!」と即答できるかと思います。
学校でわざわざ習わなくても知っていた知識だったので、子供のころは完全にスルーしておりました。
なぜ青森県はりんごの生産量が一番多いのか。
「りんごが育つには寒い所が適してるんでしょ」という答えが思いつきますが、果たしてそれだけなのでしょうか。
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青森りんごの歴史
今現在、わたしたちが食べているのは「西洋リンゴ」。
日本には平安時代の中期ごろに中国から伝わってきた「和リンゴ」もあるのですが、主に観賞用だったそうです。
江戸時代にはお菓子として食べられていたそうですが、酸味が強く小振りだったので、西洋リンゴが普及するとともに食されることはなくなったようです。
青森県で「西洋リンゴ」が栽培され始めたのは、明治8年(1875年)。
内務省からりんご、もも、おうとうといった苗木が配布されたことが始まりです。
そこで活躍したのが「青森リンゴの先駆者」と呼ばれた菊池楯衛(きくち たてえ)さん。
青森リンゴの先駆者
この方は1846年に津軽藩の武家に生まれました。
明治維新後に県庁で働くようになり、ある日、国から送られてきた文書に「西洋リンゴは貯蔵すれば1年あまり保存できる」と書いてあったのを知りました。
その後北海道に渡り、リンゴの栽培法を学び、青森に戻ってから仲間を集めて「化育社」を設立。
仲間にその栽培法を広めていきました。
青森県の東部の太平洋側では冷害が起き、江戸時代のころはお米の収穫がゼロになることもありました。
お米が凶作のときでも農家の収入が得られることは大きなポイントだったことでしょう。
さらにきちんと貯蔵すれば1年もつのです。
リンゴは青森県の人々の生きる希望となったことでしょう。
また西部には岩木山という火山があり、周辺は火山灰地で水持ちが悪く、稲作には適していない土地でした。
つまり果樹園に適する水はけのよい土地があまっていたのです。
水はけのよい土地。リンゴの生育に適した寒冷な気候。菊池楯衛さんとその仲間たちの努力。
そういったものが青森県をリンゴ生産No.1の県にしたのでしょう。うん、納得。
青森りんごの現在
2013年の統計では、青森県のりんご生産量は41万2000トン。
日本産リンゴの実に56%近くが青森県産です。
また財務省の貿易統計では、2014年産の国産リンゴの輸出量が初めて3万トンを超え、このうち青森県産が95%を占めているとのこと。
輸出金額は約109億9700万円。
特に「ふじ」が人気で、主要な輸出先の台湾では贈答用の高級果物として重宝されているようです。
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しかし安泰なわけではないようです。
今後TPPによりリンゴの関税が撤廃されれば、安価な輸入品との戦いが待っています。
例えば、ニュージーランドなどの南半球の国は4〜8月に出荷時期を迎えるため、青森県産の貯蔵リンゴと競合してしまいます。
さあ、どうする青森。と、他人事ではいられません。
このままいくと、いつか国産リンゴが食べられなくなってしまいそう。
消費者としてはこのことをどう考えるか。難しい問題ですよね。
リンゴの「蜜」
以上で話を終わりにしようかと思っていましたが、リンゴに関して思い出したことを一つ。
子供のころ、食後によくリンゴを食べていました。
包丁で切ってみると中心部分の色が違ってる。いわゆる「蜜」というやつ。
わたしの母親は「蜜がこんなに入ってるからきっととってもおいしいよ」と言って切り分けていたのですが、食べてもその部分が特段おいしいとは感じませんでした。
で、リンゴについていろいろ調べていたらその理由が判明したのです。
あれはリンゴが光合成によって作り出した「ソルビトール」というものだったのです。
保水性があり、周囲の果肉の水分を集めるので、その水分によって果肉が透き通って蜜のように見えるのだとか。
ソルビトールは糖の一種ですが、甘みは砂糖の約60%ほどで、水分を含んだソルビトールは周りの果肉に比べて甘く感じないのだそうです。
じゃあ「蜜」がもてはやされるのはなぜなんだ?というと、「蜜」がほどよく入っているのは光合成をしっかり行って完熟している目安になるのです。
さらに、このソルビトールは、糖の腸内吸収が遅いためダイエット甘味料や糖尿病の療法に利用されるそうです。
リンゴダイエットなるものもあるようですね。
正直、青森でリンゴの生産が盛んな理由が分かった瞬間よりも、この長年の不思議が解決した時の方が「へー、なるほどっ」と思ってしまいました。
最初の投稿がこんなんでよいのだろうか…
こんな文章をここまで読んでくださってありがとうございます。
美味かったー
こんなわかりやすい記事を作ってくださりありがとうございます!
これから、リアルでも頑張ってください!
応援してます!(๑╹ω╹๑ )